アバタール・チューナーⅤ / 五代ゆう

最終巻。一巻を読み始めた段階では、ここまで壮大な話になるとは予想だにしていなかった。また、登場人物の思考がやや型にはまっていた気もするが、破綻らしい破綻もなく、よく風呂敷を畳みきったものだと思う。

エピローグにある会話は、短いながらもストーリーの根本を示しており興味深い。ここで出てくる概念があるからこそ、この話が生まれたのか。

アバタール・チューナⅣ / 五代ゆう

今までの展開が収束し、最終章へと突入。アートマによる戦闘も復活したため、前巻を退屈に感じた人でも大丈夫なはず。強弱は極端だけれども。

ゲームでは2にあたる話らしいが、各サイドそれぞれの葛藤が見られるのは小説ならではか。ここで終わらせるかのような盛り上がりを見せるが、いいところで次巻に続く。

 

アバタール・チューナーⅢ / 五代ゆう

ジャンクヤード篇とは雰囲気が一変し、よりSFらしい世界観になった。なんとなくロウサイドの本拠地っぽい。

これまで謎だった事柄がほとんど明かされるが、今後は主人公サイドの見方が変わりそう。唯一明かされていない人物の正体が気になる。

アバタール・チューナⅠ / 五代ゆう

アトラスから出ている同名ゲームの原案小説。ディストピアめいた世界から這い上がるのが当面の目標のようだが、1巻では謎な部分が多く、今後二転三転していきそう。

読み終わったらゲームもやってみるか。

私たちが星座を盗んだ理由 / 北山猛邦

フィニッシング・ストロークものを集めた短編集。ラストに待ち受ける衝撃、という意味では『恋煩い』が見事に決まっていた。再読したくなるのは『妖精の学校』。世界観が一気にひっくり返る。表題作は、タイトルは印象的だけど内容はそこまででも。

設定はそれぞれ異なるが、どの話もブラック。やはり大げさな物理トリックを控えた方が面白い。

こめぐら / 倉知淳

こちらの表紙も猫尽くしな短編集。姉妹編『なぎなた』より、コメディタッチと言うか馬鹿馬鹿しい話が多かった。特に『Aカップの男たち』は秀逸。映像化が待たれる。

『偏在』は『見られていたもの』と交換した方が内容のバランスが取れたかも。猫丸先輩シリーズの一編はボーナストラックのようなものか。